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食品リサイクル法とは?施行された背景や具体的な取り組みを分かりやすく解説

食品リサイクル法とは?施行された背景や具体的な取り組みを分かりやすく解説

Shaer
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世界的な問題にもなっている食品ロス(フードロス)は、日本も他人事ではありません。令和4年度推計値によると、日本でも1年間に472万トンの食品ロスが発生しています。(日本人一人あたり年間約38kg換算)食品ロスの削減はSDGsの目標の一つとしても掲げられているため、継続的に取り組んでいかなければなりません。

世界の食品ロスには、地球温暖化と食糧不足という2つの問題があります。食品の生産や、廃棄された食品の焼却にエネルギーを使うと、二酸化炭素などの温室効果ガスが発生します。温室効果ガスの増加は、海面水位や生態系、農作物への影響が懸念される地球温暖化を助長するものです。つまり食品ロスの増加は、地球温暖化を推し進めてしまっているといえます。

国際連合は、2022年11月に世界の総人口が80億人を突破したことを発表しており、世界の人口は今後も伸びていくと予想され、それに伴い食糧の生産量も拡大が望まれています。世界人口が増えるにつれて食糧の需要が増加する一方、供給が追いついていないのが現状です。将来的に、食糧が不足する可能性も考えられています。

この食品ロスを解決するために制定されたのが「食品リサイクル法」です。この記事では食品リサイクル法が施行された背景や目的、具体的な取り組みについて分かりやすく紹介します。

まずは食品リサイクル法(正式名称:食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)の成立背景や目的、歴史について紹介します。

法律が施行された背景

食品リサイクル法は2001年に施行されました。主務大臣は農林水産大臣・環境大臣をはじめ財務大臣・厚生労働大臣・経済産業大臣・国土交通大臣と、多くの省庁を横断していることが特徴です。経済成長によって大量生産・大量消費・大量廃棄が当たり前となった現代社会にとって、増え続ける食品ロスは大きな課題でした。

このような廃棄型社会から、持続可能な循環型社会への転換を図るため制定されたのが食品リサイクル法です。2001年に施行された食品リサイクル法は一定の成果をあげ、日本における食品ロス量は減少し始めます。2007年の改正では食品関連事業者に対する指導監督が強化されたとともに、食品廃棄物の再生利用などの取り組みを円滑化する措置が講じられたことが特徴です。とくに食品廃棄物からエネルギーを得る「熱回収」が再生利用方法に加えられたことで、よりいっそうの循環が進んでいます。

食品リサイクル法の目的

食品関連事業者などから排出される食品廃棄物の発生抑制と減量化により最終処分量を減少させるとともに、肥料や飼料等としてリサイクルを図ることを目的としています。また、食品廃棄物から飼料・肥料を生成するなど、メーカー・流通業・外食産業などあらゆる食品関連事業者による「食品循環資源の再生利用」を促進することも目指しています。

食品リサイクル法の手法

食リ法で定められた再生利用方法には、以下のようなリサイクル方法が挙げられています。 

  • 肥料化(コンポスト)
    比較的簡単にできるリサイクル手法で、窒素・リン酸・カリなどの肥料に必須な要素を含んでいる食品廃棄物であれば高品質な肥料として再生利用することが可能です。
  • 飼料化
    たんぱく質を豊富に含んでいる食品廃棄物については、飼料化に適しているといえます。国内の飼料自給率は20%と低く、かつ食品廃棄物の総量を考慮すると、双方の環境資源効率化の意味合いでは相当に有効な再生利用手法ともいえます。また、飼料化の延長で、たとえば魚のあら(魚腸骨)を飼料だけでなくペットフードの原料となる魚粉や魚油へリサイクルもされています。再生飼料は一般的な飼料にくらべコスト高ではありますが、市場最安値とも言われている現在の価格が維持されるかというと疑問点もあります。将来にわたる食料供給の水準の維持を目指す意味でも、再生飼料を活用するメリットは十分にあるといえるでしょう。
  • メタン発酵(バイオマスエネルギー)
    肥料化・飼料化ともにマテリアルリサイクルの範疇ではありますが、それらを生成するプロセスの中でサーマルリサイクルとしても食品廃棄物を再生利用できるのがメタン発酵です。食品廃棄物を発酵させてメタンガスを取り出し、燃焼させ発電します。これをバイオガス発電と呼びます。

食品リサイクル法の対象について

食品リサイクル法の対象となるのは、食品廃棄物を排出するすべての「食品関連事業者」です。しかし具体的にどのような事業者が対象となるのか、また、そもそも「食品」や「食品廃棄物」の定義が分からないという方もいるでしょう。ここからは、食品リサイクル法の対象について詳しく解説します。

対象となる事業者

食品リサイクル法で対象者は「食品関連事業者」のみで、一般消費者は対象となりません。そして食品関連事業者は、食品リサイクル法第二条で次のように定められています。

対象となる食品廃棄物 食品の売れ残りや食べ残し、製造・加工・調理の過程において生じたくず
・家庭から排出される生ごみは対象外です 対象となる食品関連事業者(製造・流通・外食等) 

・食品の製造・加工・卸売または小売りを業として行う事業者
(例えば、食品メーカー、八百屋、百貨店、スーパーなど) ・飲食店業その他食事の提供を行う事業者
(例えば、食堂、レストラン、ホテル、旅館、結婚式場、レストラン船など)

食品の製造・加工・卸売・小売を業としている例としては、食品メーカーやスーパーマーケットはもちろん、百貨店や八百屋なども該当します。飲食店業の例はレストランやカフェなどです。そして食事提供を伴う事業としては、ホテルなどの宿泊施設や結婚式場なども当てはまります。このように多種多様な業種が、食品リサイクル法の対象となるのです。

対象となる廃棄物

食品リサイクル法が定める「食品」とは、飲食料品のうち薬機法で規定された医薬品・医薬部外品・再生医療等製品以外のものとされています。また「食品廃棄物」は食用に供された後に廃棄された食品はもちろん、食用に供されずに廃棄された食品、さらには製造・加工・調理過程で副次的に排出されたものも含まれることがポイントです。
これらの定義によると飲食店での「食べ残し」や、スーパーマーケットでの「売れ残り」はもちろん、食品メーカーでの製造途中で出た「端切れ(パンの耳など)」も食品廃棄物に該当します。調理過程も対象であることから、レストランで出る野菜の切れ端なども食品廃棄物といえるでしょう。ただし家庭から出される生ごみは、食品リサイクル法における食品廃棄物とはなりません。

食品リサイクル法の義務と罰則

「食品リサイクル法(食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)」とは、食品関連事業者(製造・流通・外食)に、売れ残った食品や食べ残し、食品の製造過程で発生する食品廃棄物を減量化およびリサイクルを義務付けた法律です。2001年より施行され、2007年に一部改正されました。

食品リサイクルを実施しなければならない「食品関連事業者」の判断基準となる条件としては、「食品廃棄物等の前年度の発生量が100トン以上」の事業者となっており、該当する企業は、毎年度、国への食品廃棄物等の発生量や食品循環資源の再生利用等=食品リサイクルの状況を報告することが義務付けられています。
※「100トン以上」とは、1店舗の排出量ではなく、同一企業全体の数量です。

食品ロスとは

「食品ロス」とは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。。食べ物を捨てることはもったいないことで、環境にも悪い影響を与えてしまいます。

日本ではどれくらいの食品ロスが発生しているの?

本来食べられるのに捨てられる食品「食品ロス」の量は年間472万tになっています。(令和4年度推計値)
日本人の1人当たりの食品ロス量は1年で約38kg
これは日本人1人当たりが、おにぎり約1個のご飯の量を捨てているのと近い量になります。

令和元年7月12日に公表されました新たな基本方針では、2024年度(令和6年度)までに

食品製造業は95%、食品卸売業は75%、食品小売業は60%、飲食業(外食産業)は50%を達成する様に目標が設定されています。
(2019年までとの比較:食品卸売業70%→75%、食品小売業55%→60%)とするとしています。

まとめ

多くの事業者が食品廃棄物の削減に取り組んだ成果もあり、食品リサイクル法で掲げていた「2030年度までに事業系食品ロスを2000年度比で半減させる」という目標は令和4年度に達成されました。(547万トンから273万トンへの削減が目標のところ、令和4年度の実績値は236万トン)ただし、これは、コロナ過による外食産業の低迷も一因としてあるのではないかと個人的には思います。
これから先も継続して食品ロスを削減するためには、食品事業者はもちろん、消費者一人ひとりが意識的に行動することも重要です。
罰則を受けないようにすることはもちろんですが、企業としての社会的責任を果たし、持続可能な社会を次世代に残すためにも、食品リサイクル法をしっかりと理解してぜひ、取り組んでいただきたく思います。

東葛清掃では、食品廃棄物をリサイクルする工場と提携して、お客様から回収した残飯や食品ロスなどの食品廃棄物をエコフィード(飼料)やバイオマス発電することでリサイクルしています。

食品廃棄物のリサイクル | 東葛清掃株式会社 (toukatsuseisou.com)https://toukatsuseisou.com/recycling-of-food/

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